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三下インタビュー

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王婆・王婆・王婆

白勝 2003キリにBirdさんからすげぇお題を貰いました。水滸ファンってやっぱり濃いス、何でそんな隅から隅まで読んでるんですか。自分じゃ絶対思いつきません。ということで、えーと王婆さん?
王婆 はいよ。
王婆 何でございましょう。
王婆 あいよ。
白勝 いっぺんに喋んないで下さいよぅ。えーとどの人がどの人っスか?
王婆 おや、あたしの前に来たのはあのいまいましい鄆(うん)の小猿じゃないか。
白勝 偶然続いたんス。するとあんたがあの、西門慶と潘金蓮を取り持った……。
王婆 ふん、そうともさ。あたしこそが随何・陸賈を凌ぐ論客、ここの軍師なんか足元にも及ばない妙計であの二人を色惚け地獄に突き落とした王乾娘おばさんさ。
白勝 ……ここじゃ面倒だからRUBYタグは使わないって言ったのにはりきってつけてる。
王婆 あたしが気に入られてるってことは調査済みだよ。少しゆっくりさせてもらうかねぇ。
白勝 高俅(きゅう)よりよっぽど気に入られてるかも……えーと、そちらの王婆さんは。
王婆 本当に名乗るほどのものではないんですが……林さんちの隣の王婆めでございます。
白勝 林さん……って、林教頭くらいしかおれ思いつきませんが。
王婆 はい、その林冲様のお宅の隣の者でございます。
白勝 ……出てきましたっけ。
王婆 はい、あれ、お恥ずかしい……こんなところにまでしゃしゃり出てしまって。
白勝 えーとえーと、あ、林教頭んちの女中さんの科白に出てますね。えーと留守番を頼んで。
王婆 はい、はい、それだけでございます。
白勝 いやまあそんなに小さくならねぇで下さい。まあお茶でも。
王婆 あらいやだこの兄さんったら、梅のお茶だなんて。あたしらに何か頼みたいことがおありかい? そういえばあんたは阮って娘に気があるって聞いたよ。
白勝 なななな何を言い出すのかなあこの婆さんは。えーと最後の王婆さんは。
王婆 あたしゃ閻婆さんちの隣に住んでいた仲人婆ですわ。
白勝 ……ねえ、何でいつも誰かの隣に住んでるのは王婆なんスか?
王婆 くっふっふ、あたしは白額の虎と同じで古今東西どこにでもいるのさ。
白勝 ……え?
王婆 ひぇ、あの、儂はそんな仙人様か何かではございませんで、ただの王婆めでございます。
王婆 からかい甲斐がない男だね。
白勝 ……冗談だったんスか。でもどっか似てるような。いやいやいや気のせい。でも帰ったらおれんちの隣調べてみよう。……あの、何スか?
王婆 あんたここの親分さんの一人だね? さっきそこらで聞いたよ。
白勝 いや全然。おれは下っ端の白勝ってもんです。
王婆 ふ。
白勝 (ぞくっ)
王婆 何を謙遜なさってるんです、《白日鼠》の白勝親分と言えば梁山泊のれっきとした親分がたのお一人。ここの設定では全国に諜報網を造り上げてそれを管理してる重要なお仕事を受け持っているお方じゃありませんか。しかも塞主・晁蓋大親分の覚えもめでたい、なくてはならない股肱の部下。
王婆 あらァ、そいつはまた。どえらいお方だったんですねぇ、申し訳ありません白親分様。
白勝 ちちち違いますよぅ、それに原作じゃあおれはただの遊び人でしかも晁蓋さん達のことドロ吐いたけちな下っ端で。
王婆 親分さんがたのお辛い過去は人それぞれです、梁山に登る前のことはおいといて。そうですか、それはそれは。けれど白勝大親分ともあろう御方がいつまでも独り身ではねぇ。
王婆 あらァお一人ですか。そりゃあいけません。
白勝 いいいいいいえおれ原作ではちゃんと女房が。
王婆 お可哀相に、隣のいい人が官兵にしょっ引かれてあんなことに……本当に綺麗な娘さんでしたねぇ。
王婆 簪一本が形見だなんて、なんて悲しいことでしょ。
王婆 まあ……そうなんですか。お気の毒に。
白勝 いやだからそれは『悲華』で。
王婆 それじゃあ新しい人が必要ですねぇ。
王婆 ちょいとそっちの王さん、あんたのお知り合いにこの親分にぴったりな気だてのいい娘さんは?
王婆 うっふっふ、ちょいととうの立ったので良ければとびきりの器量よしが。
白勝 あの。
王婆 あたしも心当たりがありましてねぇ。西門慶に断られた人なんですが、戊寅生まれの寅どしで……。
白勝 それ当時93って言ってましたよね。
王婆 長生きしてからが女の魅力ってもんですよ? 親分さん、男の条件の第五はたっぷり暇のある『間』でございます。
白勝 いくら時間がある人でももう何百年か経ってます。
王婆 まあまあ。さっき確か「こざと」のつく名前が気になると仰っていましたねぇ。
白勝 いや! いいっス! あ〜もう、誰もアシスタントに来たがらなかったわけだ! 単・魏姐さんズなら互角かなあ、けどそんな恐ろしい光景見たくないっス。
王婆 おほほ。歳を取ってからはあんな茶屋なんぞやっていたけれど、あたしも若い頃はちょいと気のきいた女と呼ばれたものでねぇ。是非若い頃にその姐さん達と張り合って見たかったもんだよ。
白勝 え……美人だったんスか。
王婆 確かにあんた、年の割には若々しいし色が白いねぇ。この足の小さなこと、流し目の色っぽいこと。まだまだ現役で通用しますよ。
白勝 そういえばこの時代って30過ぎたくらいでもう婆って呼ばれてる時ありますね。実は王婆達は結構若かった……?
王婆 いえ、あの、儂はそろそろ帰らせて頂いていいでしょうか? 孫の面倒も見なきゃならないし。
白勝 あー帰りもしっかり送らせて頂きますんで。晁蓋さんの許可が出たんで公孫先生がはりきって待ってます。
王婆 まあ、そんな、もったいない。
白勝 うちの晁蓋さん口は悪いけど年寄り好きなんです。
王婆 白の親分、ここの塞主さんもそろそろ風流事にもご関心がおありでしょうに。
白勝 ひぃぃぃ! 目がらんらんと光っているっス。いや結構ですあの人にはまだ早いです! そっちの方は大官人が一人息子を持った父親みたいに期が熟すのをわくわく待ってます。
王婆 それがいけないんですよ親分、立派な英雄同士が色の道について語るのはどうもいけません。鶏をバラすのに牛の屠殺用の刀を使います? こういうことはあたし達みたいに経験豊かな仲人婆がいいんです。
王婆 それにあたし達みたいな汚い婆ァ相手なら何も恥ずかしがることありませんからね。英雄が子を為さなくてどうします? あんたがた忙しいんだから早めにやっとかなきゃ。
白勝 うわあああっとえーとそろそろ時間っス、そっちの王婆さんは開封の元林家の隣にそっちは元閻家の隣にそっちは刑場の塵にそれぞれお引き取りを願いましょう!

李師師

白勝 最近おれ何だかやたらツイてます? 美女率高いんスけどいやあの上の昔美人(自称)はともかく。いいのかなあ、次に何か恐ろしいことが待っているんじゃないかなあ。ということでBirdさんまたまたありがとうございます、ミラキリ999のリクはここの設定者が『109人目に推すとすれば誰?』に挙げた開封ナンバー1の妓女・李師師です。
 それでおれ悩んだんスよ、アシスタントやりてぇ!という兄貴達が多すぎまして、でもエロ話になる確率高すぎますよぅ。原作に忠実な路線なら小乙さんなんスけどセクハラされるからって嫌がられちまいました。大官人だと当たり前すぎるし、硬派な兄貴じゃ話合わねぇし、かといって水軍の姐さん達はもっとコンタクト取れそうにもないです。単・魏姐さんズじゃまるっきり玄人対談だしなあ、最大の切り札・天然系の公孫先生はこないだ出たばっかだし。
朱武 ふーん、それで僕なんだ。
白勝 兄貴となら一見美女対談でいいかなと。呉用先生とは話合うかどうか怪しくて。駄目っスか?
朱武 いいに決まってるじゃない。ふ、手頃な好敵手だよね。
白勝 はあ? あれ? 安道全先生。どうしてそっから出て来たんスか?
安道全 (笑)
白勝 うっ……。今の超妖艶な流し目は何だったんスか。
朱武 はーん。早技だね。
白勝 は? はい? 何?
朱武 惜しい。見たかったな。
白勝 はあ? あ、どうもお待たせ────……。
李師師 んふ。あらぁ、いいえぇあっという間でしたわ。
白勝 ……(張清兄貴より凄腕だ安先生)えーと仕切直します。開封ナンバー1の李師師姐さん、こちらうちの軍師の朱武兄貴っス。
朱武 ふうん、まあまあじゃない。
李師師 (ぴく)あらァ、そう仰る貴方も素敵ですわよ。初めまして、軍師様。お近づきになれて光栄ですわ。
白勝 何スかこの二人の間にばちばち飛び散る火花は。
朱武 うんうん、やっぱり年増美人の色っぽさはいいね。水滸の良さの一つは『粋』だよ? 中でもあんたが燕青の彫り物を撫でて感嘆するシーンは粋とエロティシズムの極みだよね。70回本が残念なのはあのシーンがないとこ。
李師師 あら、おほほ。風流な軍師様だこと。
白勝 ……原作の朱武兄貴じゃ考えられねぇス。
朱武 ところで宮城直通の地下道があったって噂は? フランスにもあったねそんな話。
李師師 おほほ、さあ、どうでしょう。けれど天子様がお好きでいらっしゃるのは忍び歩きの醍醐味ですわよ、暗い地下道では台無し。夜光の珠を翳して先導をおつとめする貴人や金蓮を踏んで随う綺麗な方々がいらっしゃれば別ですけれど。
朱武 夜中にそんなデーハーな行列で愛人とこ行く男なんて無粋じゃない。
李師師 (ぴく)おほほ、軍師様には敵いませんわ。さあ、お二人ともお茶を召し上がれ。ばあや、お酒を。
白勝 (接待すんのこっちなんだけど……うわ、茶菓子まで持参)えーと72回で宋江兄貴や大官人と会ったのは上元の前の日(1/14)でしたね。
李師師 ええ、最初にお目に掛かった時ね。
朱武 あれどうなの。焼路頭の前日でしょ、当然徽宗がぱあっとやるよね。公然の仲なんだから。
白勝 何スかそれ。
朱武 勉強足りないよ白。花柳界では季節毎に派手に宴会を開くもんだけど、その一つ。ダンナにたっぷり散財させるんだよ。よっぽど特別な仲の客か、それともえらく気前のいい客が大盤振る舞いするわけ。(これ明末清初の南京での話だけど開封も同じってことにしておくからね)。そんな時にいきなり一見の客に会うもんなのナンバー1が? たかが百両でさ。
李師師 (ぴくぴく)
李媽媽 あ痛っ!
李師師 あらァお恥ずかしい。実はあの時は義母がうっかりしていて……ええ、けれどせっかくいらして下さったお客様を無下にするわけにもゆきませんわ。おほほ。
朱武 まあそうかもねぇ。考えてみれば物価も違うし。でも徽宗代はバブルなんだから相当積んでもいいんだけどな。
白勝 そんなの読んでる方がたまげちまいますよぅ。
朱武 そっか。北宋が舞台でも実質明代だもんねぇ。ところで元宵節の前といえば客が金を払う頃!
白勝 ツケなんスか? 遊郭って。
朱武 そう年に三回払い。元宵節はその区切りの一つ。徽宗の支払いって結局税金じゃない嫌だなー。で、元宵節の前は勘定を払った祝い、後は新しい勘定にする祝いをやるんだってさ。他にも芸妓本人の誕生日にその仮母の誕生日、そのまた母の誕生日まで。バカだよねぇ歳食うだけなのに、しかも酒も徹夜も肌に悪いって。まあ搾り取る手段に過ぎないけど。
李師師 (ぴく)おほほ、花柳界はとにかく華やかでなければなりませんのよ。
白勝 けど何でそんな何でもかんでも祝いに……あ、おれらもやってますね。宴会なら。
朱武 あっはっは。
李師師 おほほ、こちらの宴もさぞや賑やかでしょうね。一度侍らせて頂きたいですわ。
白勝 う、やめた方がいいっスよ、酒癖悪い兄貴が多すぎます。
朱武 毎回あずまやの一つ二つは全壊するね、大抵武松か和尚のせいで。遠目に見てると壮観だよ。
白勝 修繕に駆り出されるのおれらなんですよぅ。
朱武 断ればいいじゃない。
李師師 おほほほ。
白勝 そういえば宋江兄貴も酒癖悪いっスよね。腕まくるだけならまだしも必ずトラブルが。
朱武 放っといたら脱いで裸踊りしたかもね。徽宗のお出ましと李逵の騒ぎに感謝だよ。
李師師 お酒の席のことですもの、仕方ありませんわ。
朱武 ま、とにかくね、元宵節に徽宗がこの人んちにいるのは当然なんだから、宋江のあれは計画的犯行だよね。いきなり独り決めしてさ。僕らいい迷惑だよ。
白勝 あ、いきなりそういう話に。
朱武 だろ?
白勝 はあ。大官人ちょっと迷惑そうでしたね。
朱武 止め方が甘いんだよ。幸いうちのトップはアンチ徽宗だから、平たく言えばこのシーン絶対なしだねぇ。あははは!
李師師 (ぴくぴくぴくっ)あらァそんなお寂しいこと仰らないで、どうかお越し下さいませ。
白勝 ……なんか水面下でえれぇ怖い戦いだったような気もするんスけど。今日はどうもお疲れさまでした。
李師師 おほほ。軍師様、約束ですわよ。
白勝 (あの……朱武兄貴、ああいうの嫌いなんスか?)
朱武 まさか。僕だって健全な男だよ?
白勝 ……いいですよもう。

《黄蜂刺》黄文炳

白勝 グルメの街・江州での食い物にまつわる水滸な思い出といえばまず張順兄貴と李逵の鯉争奪戦、そして次点がこの人黄ハチ。
侯健 え? あ、ああ、俺黒ゴマのアイス結構好きだな……。
白勝 うまくボケてくれてありがとうございます侯健兄貴。
侯健 でも白、どうして黄文炳と食い物が関係あるんだ?
白勝 だってそりゃあ料理人・李逵の腕の見せ所。
黄文炳 うをっほん。儂を無視して勝手にグロいネタをすすめるでない。
白勝 自分で言いますかねグロいって。
黄文炳 梁山泊の賊どもに捕らえられた不幸な人々は佃煮にするほどいるが、いや佃煮にされてはいまいが、儂のように潔く食べ尽くされた者はおらぬだろう。フッ。
侯健 う……思い出した、そうだった……白、俺なんか気分が。
白勝 (誰だよこんなまともな神経の人アシスタントに呼んだの。っておれか)兄貴はいエチケット袋。膝の上に置いといて下さい。えー黄文炳といえば江州の無為軍て町の隠居っス。元通判(中央からのお目付役的な役人)の意地悪爺さんで町の皆の嫌われ者。何でそんなとこに勤めてたんスか? 兄貴。
侯健 俺の師匠の紹介だったからさ、断れなくて、ちょっと勤めてから辞めようと思ったんだけど放してくれなくて。
白勝 えー周通兄貴情報によると、誰とは言わねぇけどバクチですってんてんになった時黄文炳に小金を借りた人が、腕のいい仕立て屋を紹介して一年奉公させるってことでチャラ。……売られたんスね兄貴。
侯健 ん、ま、まあ、そうなのかなあ。でも待遇は悪くなかった。
黄文炳 儂は吝嗇ではない。ちゃんとした仕事をする者にはたっぷりと払うわい。
白勝 そうでない人は?
黄文炳 もちろん馘だ。のろまや怠け者に払う金などないし、ましてや推薦などしてやったら儂が笑われる。良いか、経済とはまず無駄を省くことから始めるのだ。
白勝 ちびた鉛筆を二本繋げてみたり?
黄文炳 ドラえもんネタだな。うむ、あの道具が儂の元にあればたちまち大儲けをしてみせるぞ。
白勝 ……(意外とノリがいいなあ)。まあただの口喧しいケチ爺さんなら死んだ時棺桶の回りで皆が喜ぶくらいで済んだんですが、この人うっかりと宋江兄貴に関わっちまいまして。
黄文炳 あの酔っぱらいが酒楼の壁にへたくそな詩など書き散らしたのが悪い!
白勝 フォローのしようがないです。しかも林教頭のパクリ。えーそれから後はまるで親の敵のように打倒宋江兄貴に燃えるんスよね。一体どうして?
黄文炳 決まっている。温厚なふりをするえせ君子がミナミウリと同じくらい嫌いだからだ!
白勝 ミナミウリ?
侯健 ああ、そういえば俺と同じ頃に雇われた下働きの奴が、膳にカボチャを出したからってクビにされて、その後も執拗に苛められて町を追われたとか……。
黄文炳 喝ー!!! 良いか、儂の前でその名前を口にするな。ミナミウリと呼ぶのだ。あんなもの人間の食い物ではない! 儂を捌いたあの黒い蛮人の口に詰め込んで長江のサメに食わせてしまうが良い。
白勝 ……おとなげない。まあいいけど。えーと宋江兄貴がどうしてそんなに嫌いか、の話に戻りますけど。
黄文炳 先見の明だ。あ奴自身はただの役立たずだが貴様ら悪党を吸い寄せる磁石のようなものだ。そんな奴はさっさと叩き潰す!
侯健 ……悪の砂鉄なのかな俺達。
白勝 まあそんなに考え込まないで下さい兄貴。指摘ごもっともでいやぁ返す言葉もねぇスけど、何しろ原作の俺達の筆頭ですからねぇ。
黄文炳 貴様ら、糞尿にまみれてアホウのふりをしていたあの男の様を目撃したとしても同じことが言えるのか? ん?
白勝 ……見なくて良かったですハイ。戴宗兄貴もえらい入れ知恵したもんです。
黄文炳 それにしても惜しかった、こ奴らがいなければ大宋ももっと生き延びただろうに、さすれば儂は億万長者となって富み栄え貧民共を踏みにじり……。
白勝 だからそれが駄目だって。
侯健 うーん、家内の者には結構いい主人だったんだけど、屋敷から一歩外に出るとなぁ。
黄文炳 それだけ恩がありながらよくも儂を売ったものだな仕立て屋。
侯健 だって……旦那様は服に金は惜しみなく使ったけどセンスが悪くて。
黄文炳 どこがだ!
侯健 だって緑の上衣に紫と金と朱色と白の縫い取りで鯉の滝上りって、5月の床の間じゃあるまいし。
黄文炳 勇壮で素晴らしいではないか。
侯健 おまけに袖口には南蛮渡来のタフタでヒラヒラ。俺が丹精込めて作った上衣をほどいてあれ作った時は泣けました。お次は総鹿子絞りのとんでもない色の上衣、あれじゃ俺のセンスが疑われます。
黄文炳 理財に励み一族の為に働き尽くした男が衣裳に贅を尽くしてどこが悪い。
侯健 だからセンス。それから……。
白勝 まあまあ。その路線でいくと廊下には甲冑や五円玉で出来た五重塔やでかい剥製、室内はふかふかの絨毯で螺鈿の机にロココ調の椅子にシャンデリア、茶室は黄金って感じですかね。
黄文炳 ふむ、さほど外れていない。なかなか良い趣味をしているな貴様。
白勝 マジでおれらそんなの一切合切ガメてきたんでしょうか。嫌だなあ。えーとお兄さんの黄文Yさんは黄ハチさんとは逆に、《黄仏子》と呼ばれるほど優し〜いいい人という評判でしたね。
黄文炳 ふん! 貴様らにはまだ解らんのか。あの手の似非君子こそ国家の礎を揺るがす白アリなのだ。
白勝 仲悪い兄弟っスねー。
黄文炳 大体見ろ、儂を諫めるようなふりをしておきながら実際には何も手を出さず傍観していただけではないか。
侯健 そういえばそうだったなあ。
白勝 ……仏って庶民をただ見守ってるだけってことなんスか? もしかして宋江兄貴が嫌いなのはお兄さんと似ていたから、とか。
黄文炳 名声ばかりで実際何もしとらんところもそっくりだな。フン。
侯健 ……そういえば黄文Yさんってあの後どうしたんだろうな。あれだけ凄ぇ火事になったんだし、隣が全く無事ってことはないと思うんだが。
白勝 えーと本文には黄文炳の一族眷属は皆殺しって書いてますが、これにお兄さん一家は入るのかな? 宋江兄貴が黄ハチに言ったセリフには「あんたのお兄さんには指一本触れていない」ってありましたが。
侯健 李逵とかにうっかり殺されてるかも。
黄文炳 ふん。どうでも良いわ。たとえ生きていたにせよ火事で焼け出されて塗炭の苦しみだ。そういう時にこそ人間性というものが出るものだぞ、あの似非君子の化けの皮が剥がれるのだ。
白勝 ……めっちゃくちゃお兄さん嫌いなんスね?
黄文炳 他の皆が騙されようと、幼い頃から虐げられてきた弟は騙されんのだ。
侯健 でも最大多数の幸福って言うよな、白。
白勝 そのこころは黄ハチ一人苛められようと他の皆が幸せならOK。
侯健 うん。
黄文炳 ……侯健。貴様。
白勝 まあまあ、逆よりよっぽどいいじゃないスか。えー41回で張順兄貴に捕まって穆太公の屋敷に連行されましたね。穆太公もいい迷惑っス、庭先でバーベキューパーティとは。
侯健 う……思い出しちまった。
白勝 耳塞いどいてもいいっスよ。メニューは活け作りバーベキューに肝吸い。アンコウみたいにきれいに食べ尽くされましたね。
黄文炳 孫二娘インタビューの時蒼白になっていたくせに、よく平然と言いおるな。
白勝 後で思いっきり吐いてきます。
黄文炳 ふん、儂の解剖メニューに生刺しが入っていなかったのが残念だ。宋江がまたもや腹下しでそのまま死亡、という可能性もあったのに。返す返すも残念。
白勝 (なんか今回おわいネタ多いな)はあ、刺身で食えるほど旨いって自信あったんスか?
黄文炳 当然だ。儂は頭脳も身体も秀でているわい。
白勝 でも何しろ黄蜂刺ですから毒があったかも。やっぱり焼いて食われて良かったですね、SARSも広がっちまったことだし。ゲテモノ食いはほどほどにしましょう。
黄文炳 珍味と言え。

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