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白勝 えーと多分殺した好漢の数ナンバー1の石宝将軍です。敬称つけると後で兄貴達にシメられそうなんスけど、おれインタビュアなんで一応中立ってことで。
石宝 好きに呼ぶが良い。どう呼ばれようと儂の立場が変わるわけでもなし、構わん。
白勝 いやいやお気遣いどうも。実は蛮勇タイプの将にしようと思っていたらしいんスけど、読み返してがらっとイメージ変えたそうです。はい久々の設定メモ……『ランバ・ラル』。
石宝 らんばらる?
白勝 はははは……訳わかんねぇ。気にしないで下さい。とにかく渋い感じの敵ながらあっぱれタイプっスね、気に入っちまったみたいで。えー方臘軍の南離大将軍元帥、114回で登場した強敵です。鄧元覚と並ぶともう無敵の双璧、激戦地・烏竜嶺で最後までねばり強く戦い抜いた悲劇の武将。ああおれ明日の太陽拝めるかなあ、索超兄貴と馬麟兄貴はせいぜいゲンコで許してくれるとして……燕順兄貴も太っ腹だから……問題は後の二人だなぁ、ははははは。
石宝 気分が優れないようだが。
白勝 いや平気っス、慣れてます。お互い死んでケリつけた後ですからさっぱりした心境でやりましょう。
石宝 ふっ、どうして、なかなか面白い男だな。おぬし。
白勝 いやー晁蓋さんが背後にいることに気づかず史文恭を誉めた後っスからハハハ。えーとアシスタントは当然、石宝将軍の流星鎚と劈風刀に散った5人の中から、と言いたいんスけど、誰が出るか昨日の夜からもめてもめて全員共倒れになっちまいました。うち4人は多分鮑旭姐さんの香水に酔っちまったんじゃないかな? ということで不戦勝の関──あれ?
郝(かく)思文 こんにちは将軍。
石宝 (目礼)この女性(にょしょう)は?
郝思文 原作では貴方あたしの首実検したと思うけれど、まあ判らないのも無理ないわね。郝思文よ、宜しく。
関勝 申し訳ありません白勝殿。姉がどうしてもと申しまして。
白勝 いやぁ全然構いませんよ。いきなりぱーっと華やかになったのが文面じゃ判んなくてもったいねぇくらいっス。
石宝 郝思文……杭州戦の折偵察中に我々に捕らえられた、あの将か。
郝思文 あら、憶えて頂けたのなら光栄だわ。
石宝 虜囚の身となった時も見事な態度であった。斬るのは惜しくはあったが、なにぶん戦だ。許せ。
郝思文 仕方ないわね。あたしを切り刻んだのは方天定だし。こちらだって貴方を捕らえれば斬っていたわ、原作の宋江なら惜しんだでしょうけど。捕虜にしておくには危険すぎる。
石宝 ふ……そして関勝殿、か。
関勝 (笑)貴殿とこうして酒を酌み交わせるとは。
石宝 まったく。死ぬのも悪くはない。
白勝 何かいい感じになっちまってます。えーと関勝兄貴と将軍は二度出くわしてますね。一度目は全くの互角。おれ最初、将軍がやたら強いのはページ少なくなってきたんで原作者がばさばさおれらを減らしただけだと思ったんスけど、関勝兄貴と互角ならこりゃもう実力ですね。
石宝 いや。おぬしらは攻める側だ、確かに勢いというものはあった。だがこちらは背水の陣であったからな、必至に戦っただけにすぎん。現に二度目は退いた。
関勝 わたしとて、貴殿との一騎打ちは死力を尽くさねばなりませんから、あのような状況では少々辛い。
白勝 呂方・郭盛二人がかかっても互角でしたね、あれにはびっくりしました。
石宝 さすがに若僧には負けられん。
白勝 なるほど、このへんがランバ・ラル。五人も倒したんで個人的な強さが印象強い石宝将軍ですが、策謀も宋江兄貴より上。まあ孫子のあれはちょっとベタすぎるんで原作者に減点やりたいところです。解珍・解宝兄貴すいません、お二人の遺体でおびき出したんスよね。
関勝 しかし戦術とは元々非情なものですから、義理人情を絡ませる方が負けなのです。石宝殿を非難する謂われは……。
郝思文 あたしの首が城壁に晒されたのも戦術だもんね。
関勝 姉上のことであれば別です。
白勝 (きっぱり言い切ったなぁ)。同僚というか相棒として鄧元覚という人はどうでしたか?
石宝 ふむ──言い尽くせぬわ。おぬしら若者の友情とは、また違ったものでな。
関勝 (笑)我々108人も貴殿達のようになりたいものです。
石宝 108人(笑)それは随分と。
白勝 方臘戦といえばやはり烏竜嶺。117回で将軍はそこを死守することを選び、鄧元覚は睦州救援に向かいましたね。
関勝 ……貴殿には後方から援軍が来なかった。我々には童枢密軍が来た。
石宝 ふ──儂にも元覚にも見えていたわ、先のことは。それでも奴は睦州へ向かった。大きく兵を割くことはならんと言いおって、たった5000で……見殺しには出来なかったのだ。あれは甘い男であった。大将軍となるまで生き延びたのは、ひとえに運とあの強さの為だ。しかし、それが身を滅ぼすことも自覚していた。
白勝 行かせちまった将軍も甘いということになりませんか。
石宝 関勝殿、判るかな?
関勝 わたしには──貴殿は二度目に遭遇した時、戦意を失っていたように見えました。あの時から……判るような気がします。
石宝 そういうことだ。
郝思文 (勝、説明しなさいよ)
石宝 儂は億劫になったのだ、郝思文。烏竜嶺から動くのが嫌になった。それだけだ。
郝思文 ……?
石宝 方臘の──もはや陛下と呼ぶのはどうもな──周辺では常に派閥争いが絶えなかった。おぬしらも結局は佞臣どもに誹られて破滅したな、それと同じだ。儂や鄧元覚はへつらいおもねることがなかったから、もし儂らが勝利して戦が終わっても即座に用済みとなっていただろう。おそらく方臘自身も儂らを嫌っていた。そのようなことが、ふと馬鹿馬鹿しくなってな。
郝思文 戦の最中に?
石宝 そう呆れるな。おぬしにはまだ解らん。
郝思文 あたしそれより先に死んでるんだけど。
石宝 そうだったな。──老いたのかもしれん。元覚には解っていたようだ。
白勝 ……うーん、方臘戦を逆から見るとこれまた面白いもんスね失礼ながら。色々ありがとうございました。
(注:ランバ・ラル=ガンダムキャラ。ジオン軍の鞭使いモビルスーツ・グフに乗っていたおじさん)
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白勝 ああまた問題のある人が出てきました。どうすんだよこの人……えー原作の盧俊義兄貴の元奥方の賈氏です。ここ設定だとどうするんスかね。15コ年上?
賈氏 歳の差なんて何の関係があるんです?
白勝 いやあんたと李固のことじゃなくて。
賈氏 老公(旦那様)とも同じくらいでしてよ。馴れ馴れしくあんたなどと呼ばないで下さいな、山賊のくせに。あたくしを大名府きっての盧員外(金持ち)の妻女と知っての物言いなの? おかしな真似をしたらただでは済みませんよ。
白勝 その盧員外も立派に山賊になったんスけどねぇ。しかも梁山泊のナンバー2。
賈氏 お前達が唆したんじゃないの。老公は冒険好きで、こうと決めたことは何でもおやりになる方だったから……ああ。この、人でなし! よくもまあ、人の家庭をずたずたに。
白勝 ひでぇ言われようだな、その前から李固と出来てたくせに。
賈氏 何をいやらしいことを言うのよ、この下郎。あたくしにそんな口を利いてただですむと思っているの?
白勝 ちょっとちょっと、インタビューなんだから正直にやりましょうよ。潘金蓮さんなんてさっぱりしたもんでしたよ?
賈氏 あんな恐ろしい人と一緒にしないで頂戴! あたくしを辱めるなんて、老公が聞けば何と仰るか。見てらっしゃい。
白勝 晁……盧俊義兄貴は来ませんよ。「うるせぇから嫌だ」だそうです。代わりに小乙さんがゲストです。
賈氏 小──?
燕青 お久しぶりです。奥様。
賈氏 ……あなたそんな顔していたかしら。まあいいわ、ちょっと小乙さん、どうして老公は来て下さらないの。お前達、何か良からぬ事を企んでいるのではないの?
白勝 ……さっきからしらばっくれてるなとは思ってたけど、ここまで堂々としてると演技賞モノです。姦通しといて亭主を牢にぶち込んで、罪悪感とか全然ないんスか?
賈氏 な、何を言うの、この恥知らず……小乙さん、一体これは何なの?
白勝 ホント何なんスかこの人。
燕青 奥様は、御自分がよからぬ事をなさったとはかけらも思っていらっしゃらないのだと思います。
白勝 はあ? だって。
燕青 実際のお歳よりも、何と申しますか、たいそう天真爛漫で無邪気なお方なのです。御主人を通報なさったのは李固に言いくるめられた為でしょうし。
賈氏 そうだわ、小乙、あなた今からでも老公を連れてきて頂戴。梁山泊なんて、そんな恐ろしい処にいてはいけません。あたくし何としてでも恩赦が下るように働きかけますわ、だから罪を償ってきれいなからだになって頂きたいの。
燕青 御安心下さい奥様。御主人は原作ではその後、朝廷の招安を受け入れて全ての罪を赦され、叛乱討伐に赴いては幾度もご活躍をなさり、陛下から位まで頂きました。何も心配なさることはございません。
白勝 (嘘は言ってねぇけどよ)。
賈氏 まあ……そうなの。それを聞いてあたくし、胸のつかえが取れましたわ。
白勝 あのー何か麗しい夫婦愛みたいスけど、李固との事情はどうなってるんスか。
賈氏 李固? うちの大番頭が何か?
白勝 あの……小乙さん?
燕青 奥様は昔からこの通り、お若く愛嬌があって家の者に気安くして下さる方でしたから、李固の振る舞いによっては誤解してしまう者もいたかもしれません。
白勝 ちょっと待って、そしたらあの……ムニャムニャ……は何もなかったってことっスか?
燕青 わたしが読みましたところでは、わたしの科白以外にそれを示す箇所はなかったように思います。
白勝 ええええ? うわーん自分の科白に責任持って下さいよ〜小乙さーん。
燕青 申し訳ありません。
賈氏 小乙さん、この人何かの発作じゃなくて?
燕青 何か大変な勘違いをなさっていたようです。奥様、お詫び申し上げます。
賈氏 (笑)あなたが謝ることはないじゃないの。さあ、老公の元に案内して下さいな。三人で大名府に帰りましょう。
白勝 いや帰るってそんな、大体あんた李固と一緒に盧俊義兄貴に凌遅(寸刻みの刑)に、うぐ。
燕青 奥様、御主人はここが大層お気に召したそうで、店の方は全て李固に任せると仰っています。こちらの方々は皆御主人と同じように朝廷にお仕えする忠臣で、どこで叛乱が起きてもいつでも出陣出来るよう日々鍛錬を続けているのです。どうかご理解頂けますよう。
賈氏 まあ! そうでしたの? そんなこととはつゆ知らず、先程はひどい事を言いました。
白勝 (うう、身体中が痒いよぅ。)いやいやいや気にしないで下さい。変なこと訊きますけど62回以降のことを憶えてますか?
賈氏 え? 何が62回?
白勝 いやいや何でもないス。カットなんですねそこから先あんたの頭からいやもとい。いいですよもう。あらためて見直してみりゃ何つーか、幼妻っぽい感じの可愛い奥方です。原作じゃ確か25歳の筈ですが。
賈氏 ええ、あたくし20歳の時に嫁いで参りましたの。
白勝 えーと将来の夢とか計画とか。
賈氏 もちろん跡継ぎを産んで立派な人に育てることですわ。あたくし子供は何人でも欲しいんですけれどまだ出来なくて、それに、老公がなかなかお帰りにならないから……。
白勝 (ならねぇから李固と作っちまうのはなしですよ?)
賈氏 そうだわ。小乙さん!
燕青 はい。
賈氏 (こんな人だったかしら)老公はお上から大変な任を命じられているのだから、あなたがしっかりして下さらないと困ります。家のことはあたくしや李固に任せて、どうか老公にしっかりとお仕えして下さいな。
燕青 はい。命に替えましても。
賈氏 いずれ何か届けさせましょう。あたくし店のことが心配ですからもう戻ります。老公に宜しくお伝えして下さいね。
燕青 はい。あちらに迎えが来ております。
白勝 ……どこまでホントなんスか?
燕青 わたしには判りかねます。設定は『デスデモーナ』だそうです。
白勝 そんなこと言われても解りませんよぅ。え、何スか、この段ボール箱。
燕青 蒋敬兄貴から、シェークスピアの『オセロ』原文と各国訳そして書評・研究書・参考文献・同時代作品傾向分析・語彙分析・後世のパロディその他、それからこちらがデスデモーナを扱った全作品のビデオとDVDだそうです。では、奥様をお送りして参りますので失礼致します。
白勝 ……これはこないだのガメラのリベンジなんスか蒋敬兄貴。うわーん、最後に出されても。
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公孫勝 こんにちは〜。ワケはよくわかんないけど白勝が熱出してうんうん唸ってるからオレが代わりに来ました。白勝どうしたの?
鄧(とう)飛 お前に判らないのにあたしに判るわけないだろう。文字を書いた紙みたいのをたくさん布団代わりにしていたが、あれはお前の術か?
公孫勝 ううん? ホームレスのふりをしてどこかに潜入する練習かと思った、最初。
鄧飛 そういえばお前のにおいはしなかったな。ところでこいつは?
公孫勝 あ、うん。今回はこのヒト。
白額虎 がう。
鄧飛 ……相手が虎なのはいいが、どこに出てくる虎だ? 虎なんて水滸には何度も出てくるだろう。
白額虎 うるるるるる。
鄧飛 フーッ!!
白額虎 ぐるる。
公孫勝 えーとここの鄧飛は山育ちでちょっとジャングル・ブック。原作全然無視してごめんね。それ虎語? 威嚇しあってるのかな? それとも仁義切ってる?
鄧飛 そんなの解るか! これは、何というか、説明しにくいけど。
公孫勝 ボディランゲージ?
鄧飛 お前達学者の言うことはさっぱり解らない。とにかく、向こうが偉そうに唸った時は強く唸り返すものなんだ。
公孫勝 オレ達の出会いも大体みんなそうだよね。時々韓伯竜みたいに運悪く失敗する人もいるけど。
鄧飛 知らないそんな奴。
白額虎 うるるるるる。
公孫勝 あ、ごめんね二人で喋ってて。えーとアナタはどこの回のヒトかな、竜虎山で洪大尉を脅かした?
白額虎 るる。
公孫勝 景陽岡で武松の酔拳に負けちゃった?
白額虎 るる。
公孫勝 もしかして李逵のお母さん食べちゃった?
白額虎 るるる。
公孫勝 全部Yesに聞こえるよオレには。
鄧飛 こいつ、お前に甘えているのか?
公孫勝 そうかな? わあい。あ、ここ掻くと気持ちいいんだ? それにしてもすごい立派な髭だね、硬いんだね。わ、あははは、舌ざらざら。
鄧飛 それにしても、白額の虎というのが全部同じやつだったとは思わなかった。
公孫勝 不死身なのかな?
白額虎 ぐるるるるる。
公孫勝 大体「白額」ってどういうニュアンス? あ、えーと、何か意味あるのかな? 普通の虎じゃないの?
鄧飛 普通はこんな風に模様があるだろう、額に……。
公孫勝 あ、うん、「王」って字みたいに。そういえば虎の小説あるね、『偉大なる王(ワン)』てやつ。確か北の方のだけど。
鄧飛 知らない。
公孫勝 もしかして年取って白髪になって模様なくなっちゃった?
白額虎 るるるぅ。
鄧飛 確かにこれだけでかくて立派な虎というと、若くはないかもしれない。
公孫勝 水滸で虎が出る時って風が吹くんだよね。ちゃんと解説してあるの、龍といえば雲で虎といえば風って。風水から来てるのかな? 虎は西の方角で白で秋で風だね。
鄧飛 フースイ?
公孫勝 うん、オレはよく知らないけど樊瑞詳しいよ。家建てる時どこにトイレ作るとか、そういう占いみたいなやつ。
鄧飛 厠と虎が関係あるのか?
公孫勝 そういえばそうだねぇ……九宮八卦陣もそうだよ。あれだと確か西には林冲が配置されるんだ。虎ヒゲだからかな? 林冲の武装って白だっけ。
鄧飛 知らない。
公孫勝 まあいいや。えーととにかく虎は風に縁がある。でもそれってオバケみたいじゃない? なまあったかい風と共にひゅーどろろって感じ。
鄧飛 山で遭うのはバケモノより虎の方が嫌なものだろう。
公孫勝 里に下りるともっと嫌なモノがあるって呉用が言ってた。「苛政」の方が虎より嫌だって、孔子ってヒトにお婆さんがアンケートでそう答えたんだって。
鄧飛 ???(だから学者と話すのは疲れる)
公孫勝 あ、ごめんねまた話それた。とりあえず白額の虎っていうのは虎の中でも特に大きくて怖そうで、もしかしたら何百年も甲を経て虎精になりかけてるやつじゃないかとオレは思ったんだけど。
白額虎 るるる。
鄧飛 あたしにはただの虎に見える。
公孫勝 そうかぁ。もうしばらくしたら話も出来るようになるかと思ったんだけどなぁ。
鄧飛 虎精になるのも修業が必要なんじゃないのか。お前だって道士の修業をしたんだろう?
公孫勝 さあ? してないと思うけど。忘れちゃった。
鄧飛 そんなものなのか、学者って。
公孫勝 オレ変みたいだよ……ところでアナタ、オレの手しゃぶって美味しい? そう? なら良かった。
鄧飛 待て。お前それ血が出てる。
公孫勝 あれ? あ、ホントだ。あれあれあれ? 穴あいてる。
鄧飛 喰うな!(ばきっ)
白額虎 ぅがうっ! がるるるるる。
公孫勝 あははは、パンチで穴あけたみたい。ちょっと間違えて口閉じちゃっただけだよ鄧飛、大丈夫。ほら。
鄧飛 舐めさせるな!(ごつっ)
白額虎 がうっ! がるるっがうっ!
公孫勝 でもホラ出ちゃったものはもったいないし。献血?
鄧飛 馬鹿。相手は人食い虎だぞ。ええいもう──。
公孫勝 鄧飛も血好きなの?
鄧飛 うるさい、好きで舐めたんじゃない。さっさと安道全のところに行け。顔が白い。
公孫勝 でもオレまだインタビューしてないよ。
鄧飛 うるさい。血が出すぎると死ぬ。お前が死ぬと塞主が泣くぞ。
公孫勝 あ、うーん。わかった。じゃあこれ後で洗って返す──。
鄧飛 さっさと行け!
白額虎 がうっ!
楊林 ……おい、今血まみれの先生とすれ違ったが、鄧飛お前何か、うわっ!
白額虎 がるるるるっ!
鄧飛 うるさい虎め、もう一度李逵にケツから刺されたいのか。あたしの鎖鎌をくれてやってもいいんだ、よくもあたしの仲間を傷つけたなっ!
白額虎 ぐぅ、ぐるるるる……。
鄧飛 ふん。
楊林 ……(すげぇ、虎に勝っちまった)
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白勝 何スかこのケモノ臭い空気……うわっ、ここにぼたぼた垂れてんの血ですよね? 誰っスか、何だかしらねぇけどやりっ放しで……日常茶飯事だけど。まあ拭いとくか。
えー1500キリリクになんと「水たまりの三下インタビューで花妹君か崔氏」のご指名がかかりました。Birdさんありがとうございます。いや〜インタビュアやってて良かったぁ、漢の世界って感じの水滸伝にもこうしてみると結構女の人って出てくるもんですねぇ。えーとご紹介します、崔氏は花栄さんの奥さん、花氏は妹さんで秦明将軍夫人。こないだの賈氏に引き続き、梁山泊の好漢の奥さんシリーズです。 崔氏 お招きありがとうございます、白勝殿。
花氏 ぷぷっ、でも私達ここに住んでるのに何か変。
白勝 まぁそうなんスけど、おれらが「水たまり」のオリジナル設定なのに対してそちらさんは原作寄りなんで、所々食い違いますんでよろしく。
花氏 あーら、原作の私は宋塞主曰く『なかなか賢い妹さん』なんでしょ? 賢い女っていったらお義姉様みたいな賢夫人ってことでしょ? 私とイメージ違うわ。まあ『なかなか綺麗な妹さん』じゃないあたり塞主も正直よね、もう。
白勝 いやいやいやえーと、可愛い系なんスよね。
花氏 フォローありがとう。いいのよ、そこそこの美人くらいじゃお義姉様にとても敵わないもの。
崔氏 本人を前にして。からかうものではありませんよ。
花氏 だーってキレイだもの。さすが『水滸後伝』のメインキャラの生みの親! お義姉様似だからシャムの王女をオトせたのよ。
白勝 花栄さん似でも全然オッケーじゃないスか?
花氏 甘いわ白さん。問題は性格よ。
白勝 ……はい?
花氏 兄様は結構細かいところがうるさくて、それにケチなのよ。ダイコンの切り方から箸の上げ下げ、お掃除の仕方に到るまでまるでお姑よ! 窓の縁をこうして指でスッと撫でて、フッと笑うのよ!
崔氏 (何です、家内のことを人様の前で)
花氏 お義姉様これはインタビューよ、正直に赤裸々に言わなきゃ。ダイコンを千切りにしようが千六本に切ろうが大差ないと思うわ私。兄様はどうも女性ファンが多いみたいだけれど皆外見に騙されているのよ。その証拠に男性読者受けはあまり良くないわ。
崔氏 ……。
白勝 ……小さい頃相当兄妹喧嘩やったクチですね?
花氏 喧嘩になりようがなかったのよ! いつもにこにこして「ああ俺が悪かったすまないね」って言うのよ、全然反省してないくせに〜。おかげで私は「いつもつまらないことでぷんぷんしている出来の悪い娘」よ……まあ、いいお婿さんにめぐり逢ったのは、兄様のおかげと言えなくもないけれど。
白勝 (ほっ)ですよね。
花氏 でもあれは兄様のおかげというより宋塞主のおかげよね? かなり強引だったけれど。あれで相手が劉高みたいな男だったら私首を括って、旦那様を第二の醜郡馬にしていたかもしれないわよ。
崔氏 さあ、それくらいにしておきましょう。
花氏 もう。お義姉様は出来すぎよ。お兄様に妻子と宋塞主どちらを選ぶって訊いたら秒殺モノで「塞主様」と答えたわよ? もう〜兄様の最悪なところはあれよね、宋江様ラブラブ。一日に八回は『替天行道』を暗唱するし!
白勝 ……それは北方水滸ネタじゃないスか?
花氏 それはジョークとして。
白勝 ははは……でも花栄さん家族思いですよね? どこに戦に出かけても家への土産考えてるし、よく奥さん自慢とか聴きますよ。
花氏 それはもちろんよ。兄様はあれでお義姉様一筋だもの。というか浮気をするエネルギーが余っていたら塞主様への忠誠心に費やしているわね。
崔氏 ……。
白勝 ま、まあ、用さんもとい呉用先生と並ぶ宋江兄貴の腹心ですよね。最期まで。
花氏 ええ! 本当に軽々と家族を捨てて殉死したわよね、そこが許せないのよ……
白勝 (あ、やべ地雷)
花氏 いつか言ったのよ、もし兄様の身に何かあったら家族はどうなるのって。そうしたらいつもの涼しい顔で「大丈夫、死亡保険は万全だよ。今は掛け捨ての方がいいしね」なんて訳解らないこと言っていたわ。馬鹿じゃないの? 可愛い息子も奥様も捨てて、男の人の考えなんて私絶対に解らない。絶対許さない。
崔氏 (なでなで)この子は本当に兄思いなのですよ、許してやって下さいませ、白勝殿。
白勝 あ、はあ、知ってますから兄妹ですげぇ仲いいの。えーと、あの、旦那さんとしては花栄さんはどんな人ですか?
崔氏 (笑)大変誇りに思っておりますわ、これ以上は何も望みません。このような田舎じみた女を娶ってくださって、ええ、満足しております。
白勝 (こういう人ってなかなか本音を言わねぇんだよなあ)えーと、じゃあ今度は秦明将軍の話題にしましょう。えーと宋江兄貴はどうも仲人が好きみたいで。
花氏 (がばっ)でも最低よ、あの人。いーえお義姉様言わせて下さい、確かに私には良縁だったけれど旦那様にとってはこれ以上の不幸はあるかしら? 奥様の死に顔を見た直後に、では新しい人を娶せましょう、よ? 私があの人の笑顔を初めて見たのがいつだか判る? 3年後よ3年後。それまでずっと黙って、それは優しく丁寧に扱って下さったけれど! あんまりよ。
白勝 うう……原作このへんホント洒落にならねぇからなあ。
崔氏 さ、もうおやめなさい。白勝さんがお困りですよ。誰のせいでもないのだから。
花氏 いいえ宋・江・塞・主のせいよ。
崔氏 不幸なのは秦明殿だけではありません。私達は皆それぞれ悲しい思いを抱えてここに来たのですよ。辛いことばかり探していては幸福になれるものもなれません。貴方は賢いからお解りでしょう。
花氏 ……はい。ごめんなさい、白勝さん。やつあたりして。
白勝 いえいえいえ。ははあ、さすが梁山泊きっての賢夫人。しめていただいたところで、今回は御苦労様でした。
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白勝 お次は武十回からイキのいいのが登場です。果物売りの鄆哥、今時感心な勤労少年ス。
鄆哥 ちわっス! へぇーここが梁山泊かぁ。帰ったら父ちゃんに話してやんないと。
白勝 親父さんが60歳であんたが15,6歳って、随分と歳が離れてるんスね。
鄆哥 別に珍しくはないよ。女房もらうのだって物いりだろ? 父さん遊び人で何度も牢に出たり入ったりしてたし、一発で息子こさえたんだから上出来だ。
白勝 一発ってね……あー親父さん元気ですか?
鄆哥 ああ、武松の兄貴がくれた金で医者に診てもらってすっかり。でも元気になるとまたちょっと小銭を握っては博奕だからな……まあ、それくらいの金なら俺がなんとかこしらえるから。
白勝 泣ける話だなぁ。少ねぇけどこれで親父さんに菓子でも買って帰りな。
鄆哥 おっ、ありがとう。(うーんやっぱり武松兄貴に会いてぇな、何たって気前がいいもんなぁ)
顧大嫂 あら白公どこの子よ?
鄆哥 ちわっス。
白勝 武大兄貴の仇討ちに一役買った鄆哥ですよぅ。
顧大嫂 へえ、この子が? 松公の恩人ならあたしら全員の恩人だよ。ちょうどよかった、おばさん特製のぶたまん山ほど持って来たンだよ、いつものさらに倍の大きさ!
鄆哥 すげぇ、俺の頭ぐらいある! え? 食っていいの? おばさん。
顧大嫂 はっはっは、たんとおあがり。若いんだから2つくらい入るよ。白公、あんたもただでさえ痩せてんだから肉つけな。こっちは四色餃子に翡翠餃子、それとゴマ団子、お茶、そしてスタミナスープだよッ。
白勝 で、デリバリーっスか、ありがとうございます姐さん。しっかしホントにデカ……。
顧大嫂 あんた(孫新)、これ中の腹ぺこ達に持ってってくれるかい。鄒二も史進も黄信も食べ盛りだからねぇ、こんなの一瞬さ。
白勝 あの人達が出てくるとメシネタ多いですよね、そういえば。えー食い物といえば鄆哥が西門慶に売りつけようとしたのは雪梨。結構値が張る果物っスね。
鄆哥 あちっあちっうめっ、え、何?
顧大嫂 食べてる時くらいゆっくり食べさしておやりよ。
白勝 あ、はい、すいません。
顧大嫂 うふふ、大食らいは好きだよあたしゃ、気持ちいいねぇ。男のくせに遠慮ばっかりしてるのとか小食なのはダメだね、ケツの穴が小さいったら。白公、残したらただじゃおかないよ。
白勝 は、はい。おれ飯残したことありませんよぅ、もったいなくて。
鄆哥 これめちゃ美味い! もう1コいい?
顧大嫂 あっはっは、どんどんお食べ。勝ちゃんと同じくらいかねぇ? あの子食が細いから心配だよ、これくらい食べなきゃ。あんたの代わりに虎に噛まれたようなもんなんだよッ。
白勝 すすすすいません。
顧大嫂 まあ安道全先生がきれいに全部繕ってくれたけどね……坊、あんたおっかさんは?
鄆哥 さあ? 気づいたらもういなかったよ。
顧大嫂 それでかい。箸の持ち方が違うよ、こっちをこうすンだ。でもいい子だねぇ、はしっこそうだし。どうだい、おばさんの店で働かないかい? 街で使い走りするよりいいよ、ゴハンもたっぷり食べさしてあげるし。
白勝 (ええ〜っ! 姐さん、だってそりゃまずいっスよ? 年取った親父さんいるんスよ?)
鄆哥 おばさんの店ってどこにあるんだい?
顧大嫂 ふもとの酒店だよ。何だい白公。
白勝 (カタギを引きずり込んでどうすんですか、こんな親孝行なガキを。可哀相っスよ)
顧大嫂 何言ってんだい。まとまった元手もコネもなく街で正直に働いたって、おまけに父親かかえて、この歳じゃろくな仕事ないよッ。飢えて死ぬより梁山に登れって言うじゃないの。このご時世、こういう正直で感心な子が損をするんだよ。それよかあたしンとこで働いた方がずっとましさ、うちじゃ孫二娘ンとことは違って二本脚の羊の商売はやってないからね。将来は店をのれん分けしてやれるし、ほら、この子には着物を繕ってやれる人が必要なんだよ。
白勝 とか何とか言って姐さん世話焼きたいだけっスね?
鄆哥 うーん、でも俺父さんが家にいるから通えないよ、遠いし……それに……悪いけど。
顧大嫂 やっぱり山賊は外聞が悪いかねぇ。
白勝 外聞だけの問題とは痛痛痛。
鄆哥 勘違いしないでくれよ、あんた達すごく親切だしいい人っぽいし、武松兄貴もすごい豪傑で俺好きだけど、でもやっぱりこういうのは俺向かないと思う。
顧大嫂 そうだね、うんうん、おばさんが変なこと言って悪かったよ。じゃあその話はすっぱり忘れておくれ。これはあんたのおとっつぁんの分だよ、持って帰って二人でお食べ。
鄆哥 うわぁ、これだけあれば三、四日は食いつなげるな。ありがとうおばさん。
白勝 インタビューに戻りますか。ってまだ何も訊いてねぇけど。例の武大兄貴殺しから仇討ちの一件について、どうでした?
鄆哥 うん、武大がいきなり死んじまってびっくりした。俺のせいかな?って気もするんだよ。だって俺が武大に告げ口しなけりゃああならなかったもの。
顧大嫂 いや〜違うね。どのみちあの二人はそのうち邪魔な亭主をどうにかしようと思いついたよ。
白勝 その前に武松兄貴が帰って来たかも痛痛痛痛〜。
鄆哥 武大ってさ、あの人どうしょうもなくグズでお人好しで見た目はあれだし、全然冴えなかったけど悪い人じゃなかったよ。昔はさ、一緒にいるとイライラしちゃって、何でそんなの分かんねぇんだボケッ!って言いたいくらいだったけど、思い出すと何か、すごくいい人だったなぁって気がする。
顧大嫂 うんうん、そういう男っているよねぇ。
白勝 あの……俺の仕事……。
鄆哥 にしてもあれが武松兄貴のお兄さんってのがなぁ! 信じられねぇ。遺伝子の神秘!
顧大嫂 あっはっは。松公はいい男だもンねぇ。
鄆哥 そうなんだよ! 虎退治の英雄だもんな、あの後の噂も聞いてるよ。鴛鴦楼で悪い奴らをぶっ倒して、「殺したのは打虎武松なり」! す、すげぇ……真似出来ないよなぁ〜。
白勝 しちゃ駄目ですぶるぶるぶる。
顧大嫂 で? 潘金蓮ってそんなにいい女だったンかい? こないだここに来たらしいけど白公内緒にしてたのさ、後で皆にフクロにされてたよ。
白勝 だってまだ武大さんいたんですよぅ……特に悔しがった張清兄貴にダーツの的にされました。
鄆哥 (??? どっちもとっくに死んだのに)潘金蓮は……うん、綺麗だった。何ての、婀娜っぽい? ちょっとつねりたくなるような感じ。すげぇ派手ってわけじゃないけど、ふと目がいったら離せないというか……あ痛っ。
顧大嫂 もう、この子ったら。色気づいて。
鄆哥 何だよ、おばさんが訊いたんじゃないか。
顧大嫂 まあそうだけどね、答えがいやらしいんだよ。西門の方は?
鄆哥 もういい。おばさんまたつねるんだろ。
顧大嫂 馬鹿だね、男のことならいいんだよ。
鄆哥 そう? う〜ん……まあ、それなりにいい男。いかにも脂ののった金持ちの旦那でヒマで女ったらし。目がな、いやらしい目してた。あいつはどうせそのうちやりすぎて死ぬって父さんが言ってたっけ。腕っぷしも強そうだったけど、何ての? 武松兄貴が芯まで鉄の棒だとすると、西門は見かけは銀だけど中は棍棒なんだよ。金持ちは貧乏人ほど強くなれねぇもんなんだって父さんはいつも言ってる。
白勝 親父さんのこと尊敬してるんスね。
鄆哥 そりゃあ色々知ってるもの、金にはちょっとだらしないけど。それにしても女って何であんなのにころっと靡くのかな、あ痛っ!
顧大嫂 坊はいい子だけどそのませた口だけはちょいといただけないねぇ。女が全部そんな馬鹿にひっかかると思ったら大間違いだよッ。
鄆哥 わ、解ってるよ。放せよぅ!
白勝 ……まだまだ乳が恋しい年頃のようで。(おれにもこんな時代あったのかなあ)。日があるうちに親父さんとこに帰らねぇと城門閉まっちまいますよ。では御苦労様でした。
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