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ほんのはなし
読書メモや感想。勉強本が多い傾向あり。
※ 副題など省略していることが多々あります。敬称略。

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7 ライトノベルズ・エンターテインメント


スカーレット・ウィザード池袋ウエストゲートパークバトル・ロワイヤル黒い兄弟野ブタ。をプロデュース図書館戦争シリーズグラスホッパー


スカーレット・ウィザード(中央公論Cノベルズ/茅田砂湖) 途中で下ろしてと叫びたくなるような速度でつっ走るスペースオペラ、シリーズもの。宇宙で途中下車は出来ません。『デルフィニア戦記』と同じ作者の作品。ああ、と思う人は多分その通りのイメージで良い。ボリュームたっぷりでとにかくパワフル、ありえねぇこの夫婦。思うにデル戦の国王とSWの海賊とどちらが常識的か? という問いに答えられる人は作者を含めまずいないと思われる。
 ただ、この後の続編シリーズを意識したらしいラストは好みではなかった。実はファンタジー世界が舞台であるデル戦とも密かにリンクしていて、「外伝」はSWとデル戦が混ざり合う。(以降は融合して別のシリーズになっているらしい。デル戦の金銀黒ファン向け)。なのでこの後も読みたい人は先にデル戦を読んだ方がいいかもしれない。
 ワタシとしては完全に独立したSFとして読みたかったんだけど、差し引いてもお勧めするに充分足りる。

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池袋ウエストゲートパーク(文春文庫/石田衣良) ライトミステリ。時代は違うけどこないだ読んだ『岸和田少年愚連隊』を髣髴とさせる。トラブルの鎮火役に徹する兄ちゃんの一人称で書かれるオムニバス式の小説。ほとんど文句なしに面白い。書き込んである部分よりも短い断章部分の方が鋭くて味がある。気になったのはちょっと都合が良すぎることが多いのと、単語が何だか古臭くて、今の若いモノがこんな言葉使うかな、と感じる部分(少し前が舞台なんだろうか)。けれどそんなけち臭いことは考えず楽しく一気に読める本である。
 以降はシリーズ化。
2.少年計数機 前作を「旬の小説」として読んだので、そのみずみずしさを保ったままの続編が出るというのは凄い。「お前は汚いものを綺麗に書きすぎる」、と羨ましげに呟く王様の言葉が印象的。このへんからクラッシックが聴きたくなる。
外伝 赤・黒(ルージュ・ノワール) マジホンの暴力団の世界に突入、ということでサルが活躍する。マコトは名前が出てくるだけ。
3.骨音こつおん 「最終兵器」、最強。「娼婦に客を取る自由を」なんていう、モラルとは別の基準のポリシーもいい。
4.電子の星 ラーメン店モノが一番池袋っぽくて面白かった。今回は初めて池袋を出て上野(舞台の選び方がまたまたこの作家らしい)編もある。ラストの人体切断モノはどぎつい。
5.反自殺クラブ 最初の頃の泥臭い一匹狼体当たりなところが薄れてスマートになってきたのは寂しいような。ラストの『反自殺クラブ』がピンとこないのはワタシが自殺から縁遠いせいか。『死に至る玩具』は長編も書ける重いネタなので、最後がもの足りなかった。
6.灰色のピーターパン 今やプロのトラブルシューター。ハードボイルドの主人公が成長するのはこのシリーズ以外知らない。でもスマートになりすぎてちょっと寂しい。
7.Gボーイズ冬戦争 今回は題材がぱっとしない。新聞から拾ってきたかのようで、これが池袋でなくてはいけないだろうか。この作者なら更に書き込めるのでは? 振り込め詐欺ネタなど、もっと突っ込んで欲しい。
 表題作は2巻の「水のなかの目」と関連。

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バトル・ロワイヤル(太田出版/高見広春) 様々な物議と影響をもたらしたブラックな小説。
 一応言っておくとワタシはこの小説自体はともかく、こういうどす黒さに魅了されてしまった人とは距離を置きたい。特に中3までの人には読んで欲しくない。若い頃からこんな刺激ばかり好んでいるとつまらない人間になりますよ。続編がないところから見て、この小説は作者による色々な問題提起とみていいと思う。このような暴力そのものが果たして小説と呼べるのか? 面白がっていいのか? という、作者がどかんとストレートに投げてきた問題を読者はちょっと考えてみて欲しい。
 殺し合いの背景設定はお粗末で悪趣味だが、チープさがこの小説には似合う。時々作者のツッコミが入る変な文体も面白い。中3の男女42人の個性も結構書き分けられている。中3か、巧いよな。高校生ではこうはいかない。読後感が意外に爽やかなのはこの年齢のせいだと思う。読むからには色々と考えて読みたい小説。

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黒い兄弟(福武書店/リサ・テツナー) 児童書。名作劇場でアニメやってたらしい。ハイジな世界で育った少年がイタリアに売られて煙突掃除夫(だから「黒」)になる。背景や一部の悪役キャラはとんでもなく陰惨なんだけど、主人公のまっすぐぶりや仲間の少年達との友情やスリリングな冒険がそれを覆い隠してくれる。子供のココロで素直に読むべし。あの天使みたいな子はどうなったんだろう、とか幾つか気になるけど……久々に童心に帰りました。

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野ブタ。をプロデュース(河出書房新社/白岩 玄) 文藝賞受賞作品。
自分が小利口でつまんないヤツでニセモノであることを知っているというのは寂しい。この小説はそんな寂しくて繊細な現代っ子の絶望がテーマとなっている。(ここでポルノグラフィティの曲を連想するのは間違い?)読者ターゲットはドラゴンボールを読んだ世代。それ以上の方々は残念ながら、ぴったりと同化して読むのは難しいんじゃないかと思う。ストーリーは単純で軽快、ライトノベルズと純文学の中間くらいだろうか。解りよいようにしかし繊細に、という難しいハードルを軽々とクリア。
ただプロデュース以降は少々骨粗鬆症気味。もう少し練れば現代版『限りなく透明に近いブルー』になりえたんじゃないかと残念に思う。この作者の次回作はこれを上回れるだろうか。

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図書館戦争シリーズ(メディアワークス/有川 浩) イメージを一言で言うと図書館版パトレイバー。この小説、ゆうきまさみ氏に是非コミック化して欲しい。
ライトノベルズなんですかね。ジュヴナイルSF? (そのへんの定義づけは不明。ワタシは気分で言い分けてます。今はジュヴナイルってあまり言わないか)。
舞台はメディアによる言葉狩りが熾烈化して暴力的な統制にまで至っている「正化31年」。今の日本とどこかで枝分かれした、日本がこうなっていたかもしれないごくごく近未来。武力行使もする「メディア良化委員会」(法務省直下)に対して、図書館は防衛のための組織を持つ。……という、まんざら笑えない設定の元に、新米図書館員の主人公(22歳♀)が活躍する。良い意味でコミカル、良い意味で奇想天外。
1.図書館戦争 作者、軍事マニアなんでしょうか。巻末見ると自衛隊出てくる小説も書いてるし、この小説の為だけに調べたというわけではないと思う。(マニアという言葉の響き悪いですか? 人によっては喜んだり怒ったり、「いやいやわたしなどとても」と謙遜する人もいるし)。
説明部分の文章はお堅くヒロインが何かやらかすシーンはライトタッチに、それぞれ文体と脳みその使い分けが上手く出来ています。いやあ面白いな、この人はライトノベルズとエンターテインメントなんてカテゴリ分けの壁をぶっ壊してやる!という野心家かもしれない。キャラが少し漫画っぽい肉づけかもしれないけど、メリハリあって解りやすくてワタシは好き。
表紙、よく見ると笑えます。いいなこのイラストレーター。読み終えてから表紙をまじまじ見て笑うべし。2巻も出ています。3巻も出るらしい。文庫化求ム。
2.図書館内乱 勢いが止まらないどころか、パワーアップしてます。コミカルです。凄いなこれ。
今回は派手な戦闘シーンがありません。親と娘のぎくしゃくしたカンジとか、モテる美人の悩みとか、派閥間の色々とか、可愛い純愛とか、一つ一つは地味?なネタなのにここまで面白くするか! 不気味な笑い声と共に自室に籠もって読みました。
こういう、派手さはないけど深刻な、或いはデリケートな物語をこうも明快に書けるというのは凄いなあ。
作中の小説『レインツリーの国』は実在。(新潮社/もちろん作者同じ)青春+恋愛+「身障者」と「健常者」のコミ(コミュニケーション)。よその出版社の刊行情報をあとがきに載せるのを許可したメディアワークス太っ腹!
3.図書館危機 「王子様」の正体がバレてしまい、うろたえる主役2人。こそばゆくて楽しいです。今回は完結(次巻くらい)に向けての中繋ぎにあたる巻ですが、たるむことなくこっ恥ずかしいほど猛烈に進むこの勢い。次巻が楽しみです。

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グラスホッパー(角川書店/伊坂幸太郎) 『オーデュボンの祈り』に続き、この作家2冊目。作中にリョコウバトとかカカシとか出てきました。好きな小道具なのかと思ったらどうもこの作品、『オーデュボン』に一番近いらしい。ということは、この2冊読んでも「これが伊坂節だ」と決めつけるにはまだ早いということかな。ちゃんと色々読みましょう。
色々な殺し屋がやり合う話。タイトル通り炭酸飲料みたいな軽快さなので、一家惨殺が得意なナイフ青年や秘書を死に追いやる政治家が出てきても、読者が不快感に怒り出すことは多分ない。エンターテインメントというよりは、洗練されたライトノベルズというべきじゃないかな。ブギーポップシリーズを初めて読んだ時の感覚を思い出します。
キャラクターにはあまり重きを置かない作風なのかな。少なくともそれがウリというようには見えない。彼らはそれぞれ「配置」されていて「神様のレシピ」通りに動いている。『オーデュボン』でも感じたけど今回は前以上に、読んでいる途中でフローチャートが見えました。ワタシの好みからすれば、ちょっと見えすぎ。でもそういう作風なのだとも思える。
『オーデュボン』と同じく、この作品にも一人だけ普通っぽい人間──凡人が出てくる。『オーデュボン』の凡人氏は世界観が奇抜すぎるので違和感ありありだったけど、今度の凡人氏はきりもみ状態になりながらも物語の一つのコアになっています。そこが違い。ホントに凡人なのかという疑いはなきにしもあらず……蝉と鯨と槿と鈴木は同一人物かなと60%くらい疑っています。この作家ならそれくらいはアリだと思う。(喋るカカシがいるんだからさ)
伊坂氏の悪人は悪人らしすぎると言われているそうな。ああ、まあ確かに「やっつけられるべき悪役」みたいなのはホントにそれでしかない。グリシャムの法廷小説に出てくる敵方も同じだわな。ううむ?
ちなみにグラスホッパーってトノサマバッタじゃなくショウリョウバッタじゃないのかと思って辞書引いてみたけど、バッタやイナゴとしか書いていませんでした。大雑把だな英語。イナゴならローカスト、トノサマバッタならデザートローカストという方が多いとは思うけど、それだとこのポップさが出ないから。

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